shinko protec interview 「働き方見直し活動」
リーダーインタビュー

2017年5月、信幸プロテックは岩手県の「働き方見直し活動」3社に選定頂き、事務部門である経営管理部が代表部門として株式会社ワーク・ライフバランス社のコンサルティングを受けながら働き方見直し活動を開始しました。

長年にわたり企業のIT活用に携わっている有限会社ライフアシスタンスカンパニーの千葉英男氏をインタビュアーに迎え、「働き方見直し活動」のリーダーをつとめた佐々木規江が「働き方見直し活動」で感じたこと・体験したことをふりかえります。

信幸プロテック株式会社
経営管理部主任:佐々木規江
佐々木規江
有限会社ライフアシスタンスカンパニー
代表取締役:千葉英男
千葉英男
インタビュアー:Lac千葉

普段はどんなお仕事をされているんですか?

回答者:佐々木規江

経営管理部といって、総務・経理全般の部門に所属しています。

私は、日常的には請求書発行し、また時には環境関連に関する申請やサービスマンのサポートをしています。

この前は営業部と連携して改正フロン法に関するセミナーを開催しました。

インタビュアー:Lac千葉

佐々木さんは取組みの当初からリーダーとして皆をまとめられていたそうですが、取組当初またはそれ以前の正直な気持ちを聞かせてください。

回答者:佐々木規江

申し訳ないことに、私はリーダーという意識も大して無いままにこの取り組みがスタートした気がします。ただ、取組が始まる時に合わせて、「働き方改革アドバイザー養成講座」に参加させて頂き、その中で「早く始めなければ会社の発展にも大きく影響するんではないか?」という思いが強くなっていきました。危機感みたいなものを感じた気がします。

1年程前に(株)ワーク・ライフバランスさんが全社的な研修を1日行ってくださったのですが、その時は「なんとなく良いなー」と思っていましたが、その時はあまりピンと来ていなかったんだと思います。

専務がすでに講座を受講しており非常に意識が高かったことと、相談できる環境があったことが心強かったです。そして取組をしたチームのメンバーが「前向きに取り組もう!」との姿勢が非常に強かったからできたことだと思います。

インタビュアー:Lac千葉

その気持ちが「やってみよう」と変化したのはどんなきっかけですか?

回答者:佐々木規江

気が付いた時には、始まっていたという感じでした。私たちはコンサルを受けられることが決定してので環境的にはけっこう整っていたように感じます。

「やってみよう」というよりは、「やるからには良い方向に進むように」という思いで「続けていきたい」という気持ちに変化していった気がします。

その理由は、この取り組みに成果があるはずだと私自身の確信はあったものの、それをチームのみんなが感じなければ、続けることが嫌になったり、こんな意味がないことをやってどうするの?と思ってしまうような気がしたので、みんなが確信をもてるようにというところに一番意識がいっていたように感じます。

インタビュアー:Lac千葉

やり始めて、取組当初に迷っていたことやわからなかったことはどんなことですか?

回答者:佐々木規江

まずは、カエル会議の中でしゃべる人に偏りがあるなと気になったので、そこを何とか変えないと思いました。

講座で役割分担がすごく大事ということを聞いたので、すぐ取り入れようと実践しました。それから、(株)ワーク・ライフバランスのコンサルの方に教えていただいた付箋ワークはほんとに良いやり方だと思いました。全員が平等に話せるというのが私たちには効果的でした。

あとは、どうやって一人一人が成果を実感しようかということが課題でした。(株)ワーク・ライフバランスの方から、小さな成功体験を積み重ねることが継続へのカギと言われていたので、そこは非常に課題だなと感じました。

インタビュアー:Lac千葉

みんなで初めて「カエル会議」をした時の印象はどうでしたか?

回答者:佐々木規江

時間を決め、タイムキーパーが時間を測りながら付箋ワークを始めましたが、とにかくテンポの速さに驚きました。良い意味で時間に意識をもち緊張感のある会議だったと思います。回を重ねながらスピードに慣れていったと思います。 付箋ワークの中で、普段なかなか聞けない意見が出た事には良いことだな〜と感動しました。

インタビュアー:Lac千葉

何回くらいまでそれが続きましたか?

回答者:佐々木規江

時間が早いなと感じたのは、2ヶ月くらいでしょうか。2週間に1回程度の頻度で会議をしていたので、おそらく5.6回 でみんな慣れた気がします。

インタビュアー:Lac千葉

雰囲気が変わってきたきっかけは何だったのでしょう。

回答者:佐々木規江

カエル会議の付箋ワークでみんなで意見を出して、その一人一人の意見をみんなが認め、共有していったことで、何となくチームの中に安心感が生まれてきたのではないかなと思います。

インタビュアー:Lac千葉

カエル会議の役割分担表を発案したのは佐々木さんですね。なぜ作ろうと考えたんですか?

回答者:佐々木規江

しゃべる人に偏りがあり、一人一人の声が聞き取れない会議をやっても意味がないと思ったからです。

例えば、私自身が進行するより全員でやった方が一人だけの負担も減るし、みんなの力にもなると感じました。そして会議への参画意識があがるはずと思ったからです。

インタビュアー:Lac千葉

初夏から夏は依頼が集中するいわゆる「繁忙期」だった聞いています。

電話が立て込むなかでモチベーションを維持するのは大変だったのでは?

回答者:佐々木規江

できるだけ電話の少ない時間帯にカエル会議を予定するものの、電話が鳴らないカエル会議はまず無くて…基本電話が鳴るか来客がいらっしゃる中での会議でした。そのため、電話当番も役割分担の1つとしてローテンションしました。 毎回同じ人の負担にならないようにという思いです。

とくに大事な内容は「議事録見てください」の雰囲気で終わらず、落ち着いてからこんな話がでたよと口頭で伝えたりしました。

カエル会議を予定していても、コール(依頼)が立て込む日やイレギュラーなことが起きたときは思い切って延期しました。 全員が毎回のカエル会議を大切に感じていたこともあり続けてこられたと思います。あとは中間報告会や最終報告会という場があったので、締切効果的なものがあって(笑)やらなきゃ!という状況に追い込まれていたと思います。そう思うと、発表の場を作るのは非常に成果を上げるのに良い効果があるのかなとも思います。

インタビュアー:Lac千葉

佐々木さん自身のモチベーションはどうでしたか?気分が上がらないことはなかったですか?

回答者:佐々木規江

なかなか成果を私自身が感じられなかった時は、何となく不安な気持ちになっていたと思います。それでも一人一人が前向きに取り組んでいる姿に自分自身も「まだまだここからだな」と思えました。

そして、(株)ワーク・ライフバランスのコンサルの方やジョブカフェいわての担当さんからいつも客観的に見た成果を具体的に言っていただいたので、その声がすごく自信につながったと思います。

インタビュアー:Lac千葉

今回、岩手県の働き方改革推進企業3社に認定されたベアレン醸造所さん、スタイル薬局さんとの間で会議の様子をお互いに視察し合ったと聞きましたが、佐々木さんにとって一番刺激になったこと、印象に残ったことは何でしたか?

回答者:佐々木規江

私はベアレンさんだけの視察でしたが、「社内で2チームもやっているんだあ。すごいうらやましい」と思いましたし、カエル会議の中で若いメンバーがはつらつと自ら意見を話していて、すごく楽しい雰囲気を大切されていることに感動しました。

大きな取組を計画するよりも、「整理整頓」や「ありがとうを伝える」といった日常の小さな課題を見つけて実践することが働き方改革をぐっと加速させると思いました。

インタビュアー:Lac千葉

6ヶ月取り組む中で、周囲のサービスマン含め全体の雰囲気はどう変わってきましたか?

回答者:佐々木規江

勝手に感じていましたが、「最近やたら会議をやっているな」と思われているような気がしていました。ただ、私たちの取り組みの一つである現場同行に快く協力してくれたり、中間報告会や最終報告会で、忙しい中事務所でバックアップして最大限に支えてもらったのは本当に感謝でした。中には、委員会活動にカエル会議のやり方を取り入れたりするのを見て、「これも働き方改革で始めたことなの?すごいね」と言ってくれる人もいて。

あとは、社内で発表会する機会がありましたが、限られた時間だったので細かく伝えられなかったところもあったので、「普段事務所にいなくて知らないことも多いから、もう少し噛み砕いた内容で、それなりの時間をとって聞きたかった」という意見ももらい、少しずつこの取り組みを前向きにサービスマンも捉えてくれているのだと感じました。

インタビュアー:Lac千葉

佐々木さんから見て一番効果があった、この取組の「キモ」だったと思うことは何ですか?

回答者:佐々木規江

一人でなく、チームでやったからできたと一番思いますし、自分たちの働き方改革したいことは、他社の誰かではなく自分たちの中に知恵が必ずあるんだと実感しました。あとやっぱり、成果を共有する場や、こういうことをやってこれたんだと振り返る時間をつくることが大事だと感じました。

これまでは発表の場(中間・最終報告会)があって、発表を聞いた方からありがたくもたくさんのお褒めの言葉をいただいてきましたが、これからは、自分たちで1つ1つの成果を褒めあっていきたいと思っています。

最後に、諦めずに続ける勇気も必要かなと思います。

インタビュアー:Lac千葉

今回の経験を全社展開する中でどう生かしていきたいですか?

回答者:佐々木規江

普段なかなか意見を言えない若手メンバーたちも含め、全員が平等に意見をたくさん出し合って、自分たちの中に解決のための知恵も力もあることを実感できるように、何かサポートしたいです。ちょっと具体的に言えないですが…。

もしも他部門がカエル会議をやっている時は、緊急以外は電話つながないようにといった、すぐできる協力をしていきたいと思います。

あと、フロント全員が働き方改革を経験して他部門のサポートができる力があるので、サービスマンがフロントに気軽に相談できる仕組みが会社のなかにできていくといいかなと思います。

インタビュアー:Lac千葉

そのために障害になること、課題になることはありますか?

回答者:佐々木規江

障害や課題かはわかりませんが、リーダー(部門長)のみなさんの意識や取り組みへの思いはとても大切だなと感じます。それは、リーダーが目的地を見失えばチームが道に迷うのと同じイメージかなと私は思います。

あと、同じ人だけがしゃべるのではなく、若手メンバーからもどんどん意見を出せるカエル会議ができたらきっとこの取組がうまく進んでいくと思います。

他の部門の人を見てみると、月1回の部門会議を続けている部門もあるので、頻度は多くなくてもさらに価値的なカエル会議をしていけると思います。

インタビュアー:Lac千葉

リーダーを務めて一番良かったこと、自分の中に残ったことはどんなことでしたか?

回答者:佐々木規江

一人では何もできないんだなと痛感しましたし、チームの一人一人の力の大きさも感じました。

チームだからできるということを私はこの取り組みを通して教えて頂いたと思います。

インタビュアー:Lac千葉

「100社100通り」の取組と言いますが、他社が取り組む際に相談を受けたら、どんなアドバイスをしますか?

回答者:佐々木規江

もしも取り組みに対して迷っていたら、やってみて実感することが最善な気がします。

そして、自分たちにしか見つけられない取組課題が必ず見えてくると思うので、あとはチームメンバーの中に解決策を生み出す知恵と力があることを信じて任せて頂きたいです。

インタビュアー:Lac千葉

佐々木さんにとっての最終ゴールとはどんなことでしょう?

回答者:佐々木規江

会社の一人一人が、働き方改革の取組をして、「元気になった」「この仕事が好きになった」そう思える人を増やし、最後は全員がそう思えるようになることかなと今は思います。